意図的な表現の歪曲

 第8回 翻訳者が自分の価値観を紛れ込ませる

落合恵子の翻訳の問題というのは、翻訳の出来不出来の問題である以前に、落合恵子の心構えの問題だと言わざるを得ない。この箇所の翻訳は、落合には無条件に否定しなければならない物事がまず存在していて、それを否定しようとする衝動を他人の著作の中であ…

 第12回 女は被害者だと書き加えることは怠らない

落合恵子が翻訳したものはどれも落合の演説になってしまうのだろうか。以下の訳文を読むと髪を振り乱し拳を突き上げる様が思い浮かぶ。 「女こそが、自分の内部に力を求めるという革命のパイオニアでならなければいけない。もともと女はそうだったのだ。数十…

 第19回 女は被害者だと書き加えることはやはり怠らない

まず落合恵子の訳から。 不遇の中にあっても女たちは本当に大事なことを決して忘れることがなかった、といった形に歪曲されている。 「女は、家庭というひとつの限定された空間で暮らすことを余儀なくされた。そして、家庭を構成するのは、個々の人間である…

 第24回 《rock》は「封鎖」ではない

以下は落合恵子の訳。 書いた本人も説明できないであろう全くお粗末な訳文である。「政治的、経済的封鎖」 などというデタラメは一体何のことなのか。 ここ数年の出来事を振り返ってみよう。 わたしたちは、四人の大統領を迎え、そのうちのひとりを暗殺によ…

 第25回 「革命と社会運動の足音」とはどこの国の話か

どうも落合恵子はよほど革命が好きなようだ。 「そうして、すべてのわたしたちは、革命と社会運動の足音を聞いた。その中の多くは、かならずしも全体的な意味においては、あまり認知された運動とは言いがたいが、いまもって前進を続けている。」(p.146) 原文…

 第26回 フェミニズムの成果を誇張して翻訳する

落合恵子訳は以下の通り。まさか公民権運動を知らないとでも言うのか。 「そういった運動の中でもっとも重要だと思うのは、市民の権利にかかわる運動、わたしたちがカウンターカルチャーと呼んでいるもの、女性解放運動、そして環境問題などである。そして、…

 第30回 「家のフェンスを背にしたあの場所」とは一体どの場所なのか

落合恵子の訳文は以下の通り。 「あの場所」 というのは一体どこを指しているのか落合に聞いてみたいものだが、こんなものは書いた本人も説明できないに違いない。 「女たちは、従来、女の居るべき場所とされた台所や子ども部屋や家のフェンスを背にしたあの…