普通の誤訳

 第4回 落合恵子は本当に自分で原文を読んだのか

落合恵子の訳文には、本当に自分で一つ一つ原文を読んだ上で訳したのかと疑わせる不自然な点が多い。 以下は落合の訳である。 「そうして二週間目のある朝。漂うだけだったわたしの心が目覚め、働きはじめる。都会のそれとは違う、あくまでも、海辺での覚醒…

 第11回 《haven》を「天国」と訳してしまう

落合恵子の訳文はこのようになっている。 「わたしたちを気分転換や空しい情事に駆り立てたり、病院や医師の診察室といった一瞬の天国に追い込む一因となっている。」 (p.55) 原文は以下の通りである。pushing us into more and more distractions, illusory…

 第15回 すぐ前に書いたことも忘れる

まず落合恵子訳。 「この島でわたしはあおい貝を見ながらそういう経験をした。 ひとりで一週間を過ごした後、妹がやってきて、次の一週間を共に過ごした。」(p.105) この落合の訳文を読んだとき、原文を確認するまでもなくすぐにおかしいと気づいた。という…

 第24回 《rock》は「封鎖」ではない

以下は落合恵子の訳。 書いた本人も説明できないであろう全くお粗末な訳文である。「政治的、経済的封鎖」 などというデタラメは一体何のことなのか。 ここ数年の出来事を振り返ってみよう。 わたしたちは、四人の大統領を迎え、そのうちのひとりを暗殺によ…

 第31回 落合恵子は「悪」が好みか

落合恵子のこういった大袈裟な訳語の一つからも、アン・モロウ・リンドバーグとは資質や感性において大きな隔たりがあるということがわかる。*1 「現在、個人的にも地球規模であっても、世界が直面しているもっとも凶悪なる問題は、女だけとか、男だけとかい…

 補遺3 文脈を考えずに間違った翻訳をする

以下は落合恵子の訳。文脈がちゃんと読めていないからこんな訳になってしまう。 「たいていの人たちは、中年と呼ばれる年代になる前に、社会で自分の椅子を獲得しようとするか、その闘いをやめてしまうかのどちらかである。そうなると、暮らしとか家とか、さ…